大沼商会ブログ

【リフォーム】地震で倒壊しない家

建築業界の敵は自然災害ですが、最も影響が大きいのが地震です。阪神・淡路大震災(1995年)、新潟県中越地震(2004年)、東日本大震災(2011年)、熊本地震(2016年)、北海道胆振東部地震(2018年)、能登半島地震(2024年)と、30年の間に6度も震度7を記録しています。特に大震災と呼ばれる地震の後には耐震基準が変更されています。

なぜ日本は地震が多いのか

大きな地震も5年~10年に一度起きていますが、小規模な地震は毎日発生しています。日本列島は地球の外殻であるプレートが4つも重なり合う場所に位置しています。このプレートは動いており、重なり合う地点で沈み込んでいます。東日本大震災は太平洋プレートが沈み込む際、北米プレートが巻き込まれて沈み込んでいました。沈み込んだ北米プレートがプレートの曲がりに耐え切れず巻き込みから逃れた際の衝撃が地震となりました。
将来の発生が確定的と言われている南海トラフ大地震はフィリピン海プレートの沈み込みがユーラシアプレートを巻き込んでいる事が確認されているためです。
巻き込む際の小規模の反発によって地震が多数発生しているため日本は地震が多く発生しています。

地震による被害の種類

建物や家財の倒壊・破損
地震の揺れによって最初に発生する被害です。「地震の時に机の下に潜る」と小さなころから教わっているのは揺れによって倒れたり、落下してきたりするものから身を守る為です。

土砂崩れ
揺れによって地面が滑り落ちる事で発生します。裏山などの土砂崩れに家が巻き込まれれると家の耐久力では耐えることは難しいです。また、木々が生い茂っていると地中深くまで根が張ったり、水はけや保水力のバランスが良くなることで、土砂崩れのリスクが軽減できます。

津波
東日本大震災の被害が深刻だったこともあり、近年の大地震では津波に関する情報がいち早く伝えられています。震源が海中深くのプレートであればその衝撃は海に強く影響します。地上が揺れるように海が揺れ津波になります。

火災(暖房器具、通電、自動車)
関東大震災の際は被害の大半が火災であると言われています。当然ではありますが木造住宅は燃えます。ガスコンロやストーブなどの使用中に地震が発生し、着の身着のままに逃げ出した際に家財に燃え移れば、家も燃えます。また、地震によって壊れた電気系統に断絶していた電気が通電した際に発火することもあります。更には津波によって塩水に晒された自動車もバッテリーから発火します。自動車の場合はガソリンに引火して一瞬で火が大きくなる事があります。

インフラの断絶
直接的に人の命を奪う原因は上の4つですが、水道・電気・ガスが無くなれば生活はできませんし、道路が塞がってしまえば救助や物資の搬送が困難になります。同時に避難所へも行けず孤立状態に陥ってしまいます。

避難所不足
地震の規模によっては避難所として利用する予定の建物が使用できなかったり、避難所の運営職員の人員不足だったりと避難所の受け入れ態勢が確立される前に希望者が殺到してしまいます。

避難所生活
ようやく避難所に入ることが出来ても、災害時のショックや続く余震、家族や友人の安否、プライバシーのない生活に先の不安と精神的に休まることがありません。多くの人がひしめき合う避難所では好きに動くことも難しく、エコノミー症候群などが発症する場合があります。

住宅の耐震基準

現行の「新耐震基準」と呼ばれる耐震基準は1981年6月1日から適用されており、施行から14年後の阪神淡路大震災の際、新耐震基準で建てられた住宅の被害が軽微・無被害が報告されています。1981年以前の「旧耐震基準」は震度5強の揺れで家屋が倒壊・崩壊しないことを基準しているため、大震災などの震度7の揺れに耐える事が出来ません。
耐震基準が適用されるのは新築のみであり、築45年以上の物件では適用されていない可能性が高いです。さらに築45年以上経過しているとなれば、住宅自体の老朽化も考えなければなりません。あくまで耐用年数ですが木造住宅の耐用年数は30年程度と言われています。新築時の耐震性も30年を超えると下がっていると考えるべきです。

屋根は耐震の要

平屋の住宅と高層タワーマンションどちらが地震の影響を受けやすいと思いますか?
もちろん高層タワーマンションです。
その為、高層タワーマンションには免震構造や制震構造が施されています。

メトロノームを例に地震の影響を考えてみましょう。
左のメトロノームは重心が下に配置されています。振動数こそ多いですが揺れが小さいです。右のメトロノームは重心が上に配置されています。振動数は少ないですが揺れが大きいです。
背の高い建物は重心が高くなるため、地震の揺れが大きくなってしまいます。
メトロノームの振り子は先端までの長さは同じです。ですが揺れに差が出るということは「重心」が特に重要ということが分かると思います。
家の上に重いものがあると重心が上がります。家の上にあるのは「屋根」です。つまり屋根が重いと家の重心が上がってしまいます。日本の家屋に多く利用されている瓦は陶器製の為、かなり重いです。地震で倒壊した家屋の多くは瓦屋根でした。
瓦屋根だから倒壊した。という因果関係はありませんが、新築建売住宅の多くは安価なスレート屋根が利用される事が多く、築年数が経っているほど瓦屋根の比率が高いと言えます。旧基準で震度5強までの耐震性で、築年数が経ち老朽化している住宅に、重い瓦屋根が乗っている。こういった複合的な要因が重なっていると言えます。
新基準に準じた建て替えが最も効果が高いのは言うまでもありませんが、屋根を軽量化する葺き替えだけでも耐震性は向上します。

震災後の悪徳業者に注意

震災後は「一日も早く元の生活に戻りたい。」と気持ちが強いと思います。しかし災害復興支援工事を行ってきた私たちから皆様に一つご注意頂きたい事があります。
近隣の業者も皆様同様被災しています。比較的被害の小さい地域からの遠征になります。工事費用も常時に比べたら割高かもしれません。
そこで工事を悩むお客様の元に圧倒的に安い工事業者が現れる事があります。こういった業者の多くは悪徳業者です。当社が見積を出したお客様、そうでないお客様から後々、「すぐ雨漏りしてきたけど、元の業者が信用できないから。」や「依頼した業者と連絡が付かない。」などの相談が多く寄せられました。
割安であっても既に工事代金を支払っているお客様に請求するのは心が痛みます。当社を選んでくださったら後悔させません。